「練習した質問には答えられるのに、少し聞き方が変わると頭が真っ白になる」。面接の相談で、とても多い悩みの一つです。FFAでは、受講生ごとの面接練習の記録を、約1年にわたって蓄積しています。その中から、多くの人に当てはまる悩みを選び、元消防士の講師が授業で解説しました。この記事では、アドリブが利かない原因と直し方、質問の意図の確認の仕方、深掘りで詰まらないための準備をまとめます。

 

目次

なぜ「アドリブが利かない」状態になるのか

原因として多いのは、答えを暗記してしまっていることです。「こう聞かれたら、こう返す」という形で覚えていると、似た質問でも表現が変わった途端に、「これは使えるのだろうか」と止まってしまいます。

たとえば、次のような言い換えです。

  • ・学生時代に頑張ったことは何ですか
  • ・一番時間を使って取り組んだことは何ですか
  • ・周りの人に誇れることは何ですか

※書き方を示すための例です。

3つとも、聞かれている中身はほぼ同じです。ところが、「頑張ったこと」の答えしか覚えていないと、2つ目や3つ目で止まってしまいます。

「暗記」から「経験として理解する」へ

直し方は、答えの文章ではなく、経験そのものを理解しておくことです。「こういう質問なら、この経験が話せる」というレベルまで、自分の中に入れておきます。

普通の会話を思い浮かべてみてください。自己紹介をするとき、覚えた文章を話す人はいません。自分の中に経験として入っているものを、その場で外に出しているはずです。面接でも、同じ状態を目指します。

ノートの使い方を変える

ノートに「この質問には、この答え」とまとめるだけの準備は、おすすめしません。次の形に変えましょう。

  • ・経験ごとに、何があったか・どう動いたか・何を学んだかを書き出す
  • ・その経験が使える質問を、複数書き添える
  • ・話す順番は決めておく(結論→エピソード→今の生かし方)

結論から話すと、勢いで話し始めて迷子になることが減ります。結論を先に言ってから、「こういうことがありました」とエピソードを話し、最後に「今はこう生かしています」とつなぎます。この型があると、多くの質問に対応できます。

引き出しは2〜3個用意する

エピソードは、1つだけでは足りません。2〜3個の引き出しがあると、質問に合わせて一番よい話を選べます。聞かれたことに答えるだけなら、誰でもできます。そのなかで、「この話が一番伝わる」と思えるものを出すことが大切です。どの質問にどの話を出すかは、練習の中で決めておきましょう。

社会人は、今の仕事の話が中心になります。ただ、アルバイトや学校の授業、ゼミの話を聞かれる場合もあります。仕事以外の引き出しも、用意しておくと安心です。

緊張しやすい人は、暗記から始めてもよい

ここまで「暗記はよくない」と書きました。ただし、例外があります。極度に緊張する人は、ある程度の暗記から始めて構いません。

過去には、面接練習の段階で、1分ほど固まってしまう人もいました。その人に「暗記せずに話しましょう」と言うと、何をすればよいか分からなくなり、動きが止まります。まずは暗記でもよいので、話せる状態を作ります。そして、練習を何度も重ねます。繰り返すうちに、覚えた文章が「自分の言葉」に変わり、自然に出てくるようになります。

練習の回数と、聞き方の変わり方

FFAの面接練習は、序盤はオーソドックスな聞き方で進めます。練習が進むにつれて、聞き方を変えたり、分かりにくい質問をあえて長くしたり、少しぼやかしたりします。受験者の対応力を高めるためです。

練習の回数は、FFAの一番上のクラス(プレミアクラス)では、最低でも10回程度を勧めています。10回以上重ねている人もいます。重ねるほど、よくなる人が多く、自信もついていく印象があります。

回数を重ねるときは、次の2つを意識してください。

  • ・同じ質問の聞き方が変わっても、同じ経験を話せるか確認する
  • ・練習後に、答えられなかった質問を振り返って、経験の引き出しに戻る

一人でもできる、アドリブ練習のやり方

練習の相手がいない時期は、次の方法で準備できます。

  1. 1つの経験を、3通りの聞き方で言い換える:先ほどの「頑張ったこと」の例のように、同じ経験が使える質問を、自分で作ります
  2. 声に出して、録画する:合格者のインタビューでは、練習を録画して見返し、次の練習までに直した、という声が複数ありました
  3. 見返して、止まった所を確認する:言葉に詰まった所は、経験の整理が足りない部分です

友人や家族との練習には、限界もあります。消防の知識がない人の質問は、想定できる内容になりやすく、緊張感も持ちにくいという声がありました。一人での準備で土台を作り、面接官役のいる練習で、聞き方の変化に慣れていくのがおすすめです。

質問の意図が分からないときは、確認してよい

面接では、質問の意図を取り違えて、的外れな答えをしてしまうことがあります。そうなると、面接官から追加の質問が来ることもあります。意図が分からないときは、自分から確認しましょう。

確認の仕方は、一言で足ります。

  • ・「〇〇という意味で、よろしいでしょうか」
  • ・「〇〇という意図で、お答えしてよろしいでしょうか」

日常の会話では、相手の言葉の意味が分からないと、「それは、こういう意味ですか」と聞き返します。面接でも同じです。

「面接で聞き返したら、一発で不合格になるのではないか」と、深く考えてしまう人がいます。そんなことはありません。筆記も体力も悪くない、素直な受験者が、一度確認したというだけで不合格になるとは、考えにくいです。講師の意見としても、消防の仕事で判断に迷ったときに、ちゃんと確認できる人という評価につながると考えています。分からないまま進むほうが、よほど怖いことです。

質問を忘れないように、答える前に質問を復唱するのも有効です。復唱については、「消防士面接の「価値観を問う質問」|挫折経験・苦手な人・理不尽な上司の答え方」でも紹介しています。

長所・短所の説明が長くなる人へ

「長所は〇〇です」「短所は〇〇です」と答えたあと、エピソードが長くなる人も多くいます。細かい経緯や、改善の方法まで、すべて話してしまうパターンです。面接官は、そこまで聞いていません。「話が長いな」と感じさせてしまいます。

答え方は、次の形が目安です。

  1. 長所(短所)を、一言で言う
  2. それが分かる、簡単なエピソードを一つ入れる
  3. 聞かれたら、補足する

面接は、面接官との会話です。ただ、かっちりと型にはめすぎる必要はありません。型にはめなさすぎると、スクールで練習したときに、何を言っているか分からなくなることが多いため、短くまとめて、簡単にエピソードを伝えるくらいの軽い型を、持っておきましょう。

面接カードの深掘りで詰まらないために

面接カードに書いた内容を深掘りされて、詰まってしまう人もいます。原因は、深掘りされる前提で書いていないことです。

書いたことに派生する内容は、すべて話せるように

書いた内容や、自分の口から出た内容に関連することは、すべて話せるようにしておきます。書いた出来事の、その後の結果や、他の人の反応も含みます。

矛盾する書き方を避ける

よくあるのは、次のような矛盾です。

  • ・志望先は出動件数が多い、と話す
  • ・面接官が、救急件数や火災件数を聞く
  • ・「分かりません」と答える

件数が多いと言いながら、件数が分からない。これでは、つじつまが合いません。答えられないことは、書かない・言わないようにします。逆に言うと、書いたことは、すべて答えられるようにしておきます。

面接カードの書き方は、「消防士の面接カードの書き方|職歴欄で落ちないための注意点」で解説しています。

アドリブ力をつける準備チェック

  • □ 答えの文章ではなく、経験ごとに整理している
  • □ 1つの経験が使える質問を、複数書き出している
  • □ エピソードを2〜3個用意している
  • □ 結論→エピソード→今の生かし方、の順で話せる
  • □ 聞き方を変えられても、同じ経験を話せる
  • □ 意図が分からないときの、確認の一言を決めている
  • □ 長所・短所を、一言+簡単なエピソードで話せる
  • □ 面接カードに書いたことは、すべて答えられる

まとめ

アドリブが利かない原因は、答えを暗記してしまうことです。経験として理解し、2〜3個の引き出しを用意しておけば、聞き方が変わっても対応できます。意図が分からないときは、確認しても大丈夫です。極度に緊張する人は、暗記から始め、練習を重ねて自然に話せる状態を目指します。

面接全体で聞かれる質問の種類は、「消防士の面接でよく聞かれる質問と答え方|練習データ203件から」で整理しています。経験の土台になる志望動機は、「消防士の志望動機の書き方|面接で深掘りされても崩れない作り方」を参考にしてください。

FFAは、令和6・7年度で131名が合格した実績をもとに、筆記・小論文・面接を、一人ひとりの状況に合わせてサポートしています。「練習はしているのに、本番で止まってしまいそうで不安」という方は、無料相談で一度お話しませんか?