「志望動機が『大きい消防で働きたい』だけで、弱い気がする」「自己PRのエピソードが、消防の仕事に直接つながらない」。面接の相談で、とても多い2つの悩みです。FFAでは、面接練習や個別相談の記録をもとに、多くの人に当てはまる悩みを選んで、元消防士の講師が授業で解説しました。この記事では、その答え方を整理します。
「大きい消防で働きたい」だけでは弱いのか
結論から言うと、そのままでは弱く聞こえやすいです。ただし、悩んでいる人の多くは、本当に言いたいことが、その後ろに隠れています。
講師が相談を受けるときは、「なぜ大きい消防がよいのですか」と聞きます。すると、多くの場合、次のように話が続きます。
- ・出動件数が多いからです
- ・なぜ、出動件数が多いのがよいのですか
- ・現場の経験をたくさん積めて、スキルアップできるからです
- ・スキルアップして、どうしたいのですか
- ・より多くの人の役に立ちたいからです
この流れで見ると、本当に言いたいことは、「大きい消防で働きたい」ではありません。「現場経験を積んでスキルアップし、より多くの人の役に立ちたい」のほうです。
「なぜ」を重ねて、動機を明確にする手順
手順
- 今の志望動機を、一文で書く(例:大きい消防で働きたい)
- その文に、「なぜ」を付ける
- 答えに、さらに「なぜ」を付ける。これを、自分の言葉が出なくなるまで繰り返す
- 最後に出てきた答えが、自分が一番言いたいこと
- その言葉を、志望動機の中心に置く
書き出しの例(書き方を示す例)
- ・大きい消防で働きたい
- ・→なぜ:出動件数が多いから
- ・→なぜ:現場経験を多く積めるから
- ・→なぜ:スキルアップしたいから
- ・→なぜ:スキルアップして、より多くの人の役に立ちたいから
※書き方を示すための例です。内容は、ご自身の考えに置き換えてください。
深掘りの終点が「人の役に立ちたい」だと、どの消防本部でも同じ内容になりがちです。その場合は、「なぜ、その消防本部なのか」を、もう一度考えます。作り方の全体像は、「消防士の志望動機の書き方|面接で深掘りされても崩れない作り方」で解説しています。
面接でも、深掘りされる
実際の面接でも、同じ深掘りが起きます。合格者のインタビューには、志望先の魅力として装備や車両が充実していることを挙げたところ、面接官から「それ以外の良いところは何ですか」と聞かれた、という話がありました。1つの理由だけを根拠にしていると、聞かれたときに止まってしまいます。
深掘りに備えて、次の2点を準備しておきましょう。
- ・理由は、1つではなく、複数持つ
- ・一番言いたい理由を、自分の経験とつなげる
弱い例と、深掘りした例(書き方を示す例)
- ・弱い例:「私は、大きい消防で働きたいと考えています。出動件数が多く、成長できると思ったからです」
- ・深掘りした例:「私は、現場の経験を数多く積んで力をつけ、より多くの人の役に立ちたいと考えています。その経験を積める環境として、出動件数の多い〇〇市消防本部を志望しました」
※書き方を示すための例です。内容は、ご自身の考えに置き換えてください。
違いは、「大きい消防」が、目的ではなく、目的のための手段として話されていることです。一番言いたいことを先に置き、志望先を選んだ理由を、その後に続けます。
自己PRのエピソードが、消防とつながらないとき
つながりにくいのは、自然なこと
大学生や、消防から消防への転職ではない社会人からは、「自己PRで使いたい経験が、消防の仕事と直接つながらない」という相談が多くあります。消防の仕事は、そもそもイメージしにくいため、つなげにくいのは自然なことです。
消防の言葉に「置き換えて」考える
直接つながらなくても、経験の中身を、消防の場面に置き換えて考えると、つながりが見えてきます。
- ・職場で、外国人の実習生と協力して仕事をした経験:「実習生」の部分を、消防署での同僚や先輩に置き換えて考える
- ・部活動で、毎日の練習に取り組んだ経験:「練習」を、消防の訓練に置き換えて考える
部活動の経験を強みとして出す人は、とても多くいます。それ自体は、悪いことではありません。消防の訓練につなげて話せれば、問題はありません。
置き換えるときの注意
置き換えるのは、話の中身ではなく、つなげ方です。経験した事実を変える、という意味ではありません。たとえば、外国人実習生との協力という事実はそのままで、「その経験が、消防署でどう生きるか」を、同僚や先輩との関わりに置き換えて話します。事実を変えてしまうと、深掘りされたときに、つじつまが合わなくなります。
面接カードに書く段階でも、同じ考え方が使えます。書き方は、「消防士の面接カードの書き方|職歴欄で落ちないための注意点」で解説しています。
志望動機を支える材料
消防署への訪問は、必須ではない
「消防署を訪問したことがないと、不利なのではないか」という相談もあります。講師の見解は、訪問を1回もしていなくても大丈夫というものです。大切なのは、訪問の有無ではなく、これまでの実際の行動や、リアルなエピソード、熱意が伝わることです。
ただし、訪問や見学会に行った人は、面接で感想や印象に残ったことを聞かれる場合があります。行ったときは、見たことや感じたことを、具体的に言葉にしておきましょう。東京消防庁の面接の傾向は、「東京消防庁の面接当日の流れ|調査票・入退室・身だしなみ・圧迫的な質問への対応」でも紹介しています。
地元以外を受けるときは、調べて比較する
合格者のインタビューでは、地元ではない自治体を受けた人が、ホームページなどでその自治体を調べ、他の併願先との比較に備えたと話していました。志望動機が固まっていなかった人は、自治体の特徴を調べて、講師と一緒に言葉にしていったそうです。
調べた内容は、そのまま話すのではなく、自分の経験や考えとつなげます。「その自治体だから」ではなく、「自分がこう働きたいから、その自治体」と言える形です。
社会人の転職時期は、あまり気にしなくてよい
社会人の受験者からは、「社会人2〜3年目での転職は、マイナスに見られないか」という相談もあります。講師が実際に見てきた受験者の中では、年数よりも、なぜ今受験するのかをきちんと話せているかどうかが重要でした。理由が話せれば、問題ないと考えています。転職の理由の話し方は、「社会人から消防士へ転職する人の面接|退職理由と「また辞めるのでは」への答え方」で解説しています。
志望動機を見直すチェックリスト
- □ 今の志望動機を、「なぜ」で3回以上掘り下げた
- □ 一番言いたいことが、志望動機の中心に来ている
- □ 理由を、複数持っている
- □ 自己PRのエピソードを、消防の場面に置き換えて話せる
- □ 事実を変えずに、つなげ方を工夫している
- □ 訪問や見学に行った場合は、感想を具体的に話せる
- □ なぜ、その消防本部なのかを言える
まとめ
「大きい消防で働きたい」が弱く聞こえるのは、その奥にある本当の理由が、まだ出ていないからです。「なぜ」を重ねて、自分が一番言いたいことを見つけましょう。自己PRのエピソードが消防につながらないときは、事実を変えずに、消防の場面に置き換えます。訪問は必須ではありませんが、行った場合は、感想を具体的にしておきましょう。
面接で聞かれる質問の全体像は、「消防士の面接でよく聞かれる質問と答え方|練習データ203件から」にまとめています。
FFAは、令和6・7年度で131名が合格した実績をもとに、筆記・小論文・面接を、一人ひとりの状況に合わせてサポートしています。「自分の志望動機が、これで伝わるか分からない」という方は、無料相談で一度お話しませんか?
